【親断ちコーチってどんな人】代表 杉本直子コーチ
Quorumの「親断ちコーチングプログラム」で伴走者となる「コーチ」たち。連載でコーチのこれまでや、「親断ち」に向けた思いを伺っていきます。今回は、代表の杉本直子コーチ(以下:杉本)にお話を伺いました。
プロフィールとこれまで
ーーご自身のルーツに今回「親断ち」という専門コーチングメニューを作ろうと思ったきっかけがあるそうですが、簡単にお伺いしてもいいですか?
杉本:まず私の母は、自分に自信がなくて、自分の存在価値を「子どもを育てる」ことに置きすぎているような人でした。自信のない母の周りには、教育方針に口出しをして、頻繁に家にやってくるような親戚もいて…。今になって思えば、母自身、苦しい思いをしていたんじゃないかなと思います。
手をあげられることも日常茶飯事だったのですが、私は3人姉妹の長女だったので、子どものころは少しでも妹たちにその暴力の矛先が向かないよう、「かばってあげなければ」という気持ちがすごく強かった。
ただ、高校生にもなって自我が芽生えてくると本当に耐えられなくなって…。引きこもりなども経験しましたが、高校を中退して家を出て、そこからはアルバイトで食い繋いで。
ーーそこから就職、結婚、子育てがあったとお聞きしましたが?
杉本:同棲していた元夫にあたる人と結婚して、アルバイトを続けていたのですが、ある人から「子どもがいても働ける仕事だ」と紹介されて保険会社に勤務するように。自営業の方とお話する機会がたくさんあって、大変だけれどいい出会いの多い仕事でした。現在では4人の母ですが、育休のたびに免許や資格を取って、ちょっとずつ自分に自信が着き始めたころではあったのだと思います。
コーチングに関わったきっかけ
ーー「コーチ」という仕事との出会いはなんだったんですか?
杉本:実はその後に、離婚をして精神的なショックが大きかったこともあり「人と関わる仕事」が嫌になりました。でも4人も子どもがいるから、働かないわけにもいかず…。工場で働きはじめたものの、いわゆる「ブラック」な環境で、毎日をやりぬくことが精一杯の日々でした。自分の「これから」の生き方を考えることができなくなった。そんな状況を変えたいと思い、いろんな方法を探してはいたのですが、その一つに「コーチング」がありました。先輩ママとして、周囲からの相談にのることも多かったのですが、より「価値」を提供できる相談相手になりたいと思い、本格的に「コーチング」を学ぶようになりました。
ーー「コーチング」を学んで大きく変わったことはなんですか?
杉本:一番大きく変わったことでいうと、「人としてのあり方」つまり「自分がどうありたいか」を常に追究するようになりました。先の生き方を考える機会が欲しいと思って始めた「コーチング」だったので、それによって答えが見えてきたのだなと。また自分が「コーチ」として「クライアント」と関わるようになったので、「観察の重要性」に気付きました。相手を観察し、相手が未来に向けてどんな行動を取ったらいいかを一緒に一緒に導き出す。「人として人と向き合う機会」をもらったなと感じています。
「親断ち」を通じてクライアントに届けたいもの
ーー杉本コーチにとって「親断ち」ってなんですか?
杉本:最近は「家族という駅から、自分という駅への切符」と説明しています。家族という居場所を否定するのではなく、あくまで「自分自身」もまた別の居場所として作る、そんな取り組みだと考えています。どちらも大切な居場所ですが、今は一歩踏み出して、一緒に「自分自身」に向かっていけたらいいなと。
ーー「親断ち」に興味がある方に今どんなことを伝えたいですか?
母の言葉で特に今でも覚えているのは「お前の育て方は失敗だったが、他の子で失敗するわけにいかない」というもの。今自分も母親になってみると、自分の母が抱えていた「哀しさ」のようなものは、共感できる部分もありますが、コーチングを通じて過去を客観視できるようになったからこそ、彼女が私を傷つけたことが正当なものではなかったことを冷静に見つめられています。
母や親戚が信じ込んでいた「失敗」に取り込まれて人生を送る必要なんてない、そして私はそれを行動にもうつせています。クライアントさんには、「現状を変えたいと思ったら、そこには道がある」と思って、一歩踏み出してほしいですね。