【もしかして毒親?】それは愛情?それとも呪い?親の「過保護度」をテスト
子どもを守る立場である親。その役割の中には「未熟な存在を保護する」ことも挙げられます。一方で、その「保護」の度合いは行き過ぎれば、決断力や行動力を妨げることにもなりかねません。この記事では、毒親のパターンの一つである「過保護」について、便利なテストツールなどと一緒に解説していきます。
そもそも「過保護」とは
「過保護」という言葉は実は最近のものではなく、1970年前後から使われ始めたと言われています。一方で、漫画『血の轍』やドラマ「過保護のカホコ」など、親子関係の問題の一つとして、ここ数年あたらためて注目を集めているものもあります。
「過保護」とは、危険から子どもの命を守る「保護」の域を超えて、「子どもがこう望んでいるだろう」といった先回りして「守りすぎる」行動のことを指します。いわゆる「甘やかし」もその一つであり、「子どもが自分で考える力」を奪うとされています。また、子どもの頃だけならまだしも大きくなって「保護」を必要としない段階になっても、親が子離れできないといったことも問題となるようです。
『血の轍』では、主人公が「過保護」とからかわれ母の異常さを自覚はしていくものの、結局は母が一枚上手で、本人は強いストレスから吃音が出るようになり、余計に自己表現ができなくなっていきます。
「過保護のカホコ」は、黒木瞳が「過保護な母親」をたくみに演じたことでも話題となりましたが、本人は娘を守っていたつもりでも、結果的には「自分の意見をうまく言えない」就活で苦労する娘に育てたことが、物語の背景となっています。
過保護については「子どもを大切にしようとする気持ちがいきすぎてしまっただけ」「虐待をするよりまし」といった言説もでがちですが、そもそも親子関係の問題は他者と比較するものではなく、当事者たちにとっては絶対的なもの。子どもであった人自身が、被・過保護であったことに悩んでいるのであれば、それはやはり解決に向かって対処すべき親子問題なのです。
「過保護」と「過干渉」 似た言葉だけれど違いは?
さまざまな解釈がありますが、子どもの「やりたい」行動を先回りしたり、やらせすぎたりする「過保護」に対して、子どもの「やりたくない」ことを強いるのが「過干渉」と言われています。一般的には「子どものやりたいことを伸ばしすぎてしまう」過保護の方が、否定である過干渉に比べて、子どもに悪い影響を与えにくく、社会にでれば最初は困難を感じても自然と自立へと向かっていくとされています。
しかし、甘やかしはともかく「子どもはこうしたいであろう」という思い込みで親が与えすぎてしまうことは、子どもにとっては実は望んでいなかったことである場合もあり、そうなれば一転して「過干渉」ということもできるでしょう。
いずれも子どもの自立を阻む行為であり、長引けば長引くほど、子どもの自発性は失われていきます。そういった環境で育てられてきた人がいざ社会に出てみると、仕事もプライベートも「選択」の連続であることに直面し、「選べない自分の姿」に自信を失って生きづらさを感じるといったことにもつながります。
《過保護の具体例》
・お菓子などを本人が欲しがるだけ与えてしまう
・子どもが学校などで他の大人から注意を受けた際、その正当性にかかわらず抗議する
・危険な目に合わせまいと、外遊びなどの行動を制限する
《過干渉の具体例》
・子どもが遊んだり付き合ったりする人を親が決める
・子どもの進路を尊重しない
・日記などプライベートなものを無理やりチェックする
過保護チェックツール3選
子育てに関する知識をまとめたサイトなどには、「過保護」「過干渉」な親にならないためのチェックツールがあります。自分の親の行動があてはまるかどうかを、客観的にチェックすることで、自分の置かれていた環境を振り返ってみることができます。チェックツールを盲信して親を責めるのではなく、自分が自分自身のことを前向きに捉えられるようにうまく活用することが大切です。
親を行動で見てみよう《私は過保護・過干渉? 自分の毒親度をチェック!》
https://soctama.jp/column/62920
公認心理士が監修した記事の中盤に、「毒親度チェック」があります。「毒親度」といっても毒親(特に過保護・過干渉親)がやりがちな行動が挙げられており、それがあてはまるか判断するというものです。一つ目に挙げられている
・夏休みの工作や自由研究は、子どもではなく親がほとんど仕上げている。
などは、毒親エッセイの代表的な漫画『母がしんどい』でもエピソードとして挙げられています。
親を度数で見てみよう《あなたの「過保護親」度チェックリスト》
https://woman.excite.co.jp/article/lifestyle/rid_Meotalk_httpsmeotalkjplife14742/
大手ウェブメディア・ウーマンエキサイトが出している、親向けの振り返りツールです。不思議なことに、「毒」度の高い、「過保護」「過干渉」をしてきた親ほど、「自分は当てはまらない」と思いこむ傾向にあるようです。「過保護」の中でもやりたいことやらせすぎる甘やかし系過保護度がわかる診断となっています。
親をタイプで見てみよう《あなたはどんなタイプの親でしょう?》
http://www.activeparenting.or.jp/checklist.html
アクティブペアレンティングという健全な子育てを目指して、親向けの教育を行なっている団体が出しているチェックツールです。どの分野の質問にチェックボックスが多いかによって、親の傾向を探るというものです。親の自分に対する態度を振り返ることで、自分が親のどんな部分に対して違和感を感じていたかが見つかるかもしれません。
親子問題はまずは「気付く」ことが大切ですが、その次には実際に行動に起こしていくことが必要です。Quorumでは、コーチングをベースとして、かつて子どもだった人の「自立」をお手伝いしています。気になった方はまずは無料相談を。
参考文献
高橋リエ(2019)『気づけない毒親』株式会社PHP研究所
信田さよ子(2008)『母が重くてたまらないーー墓守娘の嘆き』春秋社
清水卓智(2019)『子どもを攻撃せずにはいられない親』株式会社PHP研究所