【もしかして毒親?】毒親育ちかもと思ったら、まず読んで欲しい漫画7選
SNSやニュースで頻繁に目にするようになった「毒親」。子どもを束縛する母親などが取り上げられることが多いですが、実際には「家族」という単位で問題を抱えていることが多いもの。今回は、そんな「毒親」に育てられてきた作家が実体験を描いた漫画の中でも、「うちの親ってなんか変かも」と違和感をちょっと感じている人におすすめな作品を紹介します。
「毒親」という言葉を有名にした漫画『母がしんどい』
元祖毒親コミックとしても名高い同書。筆者の田房さんが小さいころ母親からされて嫌だったことを体験記として描いた漫画です。
- 子どものやりたいことより、親がやらせたい習い事を優先させる母
- 実母(筆者の父方の祖母)の死をきっかけに、母のいいなりになる父
- 母のことを愚痴れるのは親戚
- 体型や性格などコンプレックスをうえつけるような発言
など読んでいて共感できるものもあれば、恐怖を覚えるレベルの行きすぎたエピソードもあり。母親のようなモラハラ彼氏との交際期間も含め、「毒親育ち」がたどった半生を描いたエッセイ漫画です。絵がシンプルだからこそ、母親の精神面での不安定さなどが浮き彫りになっています。
毒親取材記といえばこれ『毒親サバイバル』
『酔うと化け物になる父がつらい』で有名になった菊池真理子さんが、10人の毒親 サバイバー(毒親から抜け出した人)に取材をし、漫画にしたものです。菊池さん自身は、アルコール中毒で暴れ人に迷惑をかける父親のもとで育ち、母親は自殺するという壮絶な人生を
送ってきていますが、漫画に出てくる人たちのエピソードを過小評価することなく描いています。たくさんの事例が出てくるので、「自分の親はこれに近いかも」と思いながら読んでみるのもおすすめです。大人になってから、「毒親の連鎖」に怯える人の声も描くなど、「毒親」問題の根深さを教えてくれる一冊です。
過保護の母の愛が暴走する迷作『血の轍』
人よりちょっと過保護な母親とその息子の日常を描くところから始まる本作。「息子への愛情」とは裏腹に、周囲には「憎悪」をつのらせていき、息子はその愛の異質さに気づいていくというフィクションです。
作者の押見修造は、女子高生の中にさえない男性の人格が乗り移る『ぼくは真理のなか』や、思春期特有の青くも暗い思いを巧みに描いた『惡の華』など、社会派かつ人の心理をえぐるような題材で漫画をかくことを得意とする作家です。
『血の轍』はその名の通り、血縁の恐ろしさを題材としており、優しそうな母親が血は繋がっていない夫や親戚、また息子の恋人に向ける激しい憎悪の目が、読み手をぞっとさせます。フィクションなので誇張してかかれている部分はあるものの、それ以上にどこの住宅街にもいそうな「毒親像」が生生しい作品となっています。「行きすぎた毒親がどうなるのか」見てみたい人にはおすすめの漫画です。
親が洗脳されていて子どもの訴えを聞いてくれない『カルト村で生まれました』
特殊な教義を持った「カルト村」に生まれ育った筆者のエッセイ漫画です。「毒親」についてももちろん触れられていますが「毒になる大人」のもとで子どもはどんなことを考え、育つのか。作者は夫と結婚知ったことで救われているとしていますが、今でも日々の行動にそのころのことをひきづっている様も描かれます。
特に、教育者である周りの大人の接し方が「理不尽だ」と両親に訴えても、洗脳されている両親が聞く耳を持たないところなどは、胸にくるものがあります。「子どもは子どもらしく”元気で素直でいること”」を強要される中で、成長するにしたがって離れていく筆者の精神面や、カルト村の子どもたちが、学校などの一般社会で苦労するさまなどが描かれます。「毒親」という話題でいえば、共感できるポイントは少ないかもしれませんが、「当たり前と思ってきたことが社会の当たり前でない」状態にあった人であれば、その考えの根っこの部分が近いことに驚くのではないでしょうか?主人公のキャラも可愛らしく、サクサク読み進められます。
長女ならではの「呪い」とそれが解けるまで『毒親育ち』
借金まみれの父親と、感情の起伏が激し「すぎる」母親の元に生まれた主人公(筆者)の耳子さん。父親のビジネスが大きくなり、母からお受験プレッシャーを受けていたと思っていたら、今度は破産し一家離散。母についていった耳子さんは学業に専念することもできないまま、母の弁当屋を手伝わされ、常に「母親代わり」を求められます。弟と妹もいる3兄弟でしたが、その「母親代わり」を強いられるのは耳子さんだけでした。
20代になり家を出た耳子さんはその呪いの後遺症として「生きづらさ」を感じるようになります。常に続く緊張状態から慢性的な肩こりに悩まされ、やがて抑うつ状態へと陥ります。満たされない承認欲求から、男性に貢いだり、過剰なまでに仕事をしたりとさらに自分を追い込むように。
両親の死をきっかけに
怒りを溶かす「ありがとう」を言ってくれる親はこの世にいない
電子書籍版『毒親育ち』松本耳子 P.102より引用
と気付き、自らのこれまでに向きあって「人生の上書き修正」を始めます。そして自分の子どもには「よりよいバトン」を渡そうと心の自立を果たしていきます。
長女が背負ってしまいがちな「母からの呪い」がわかりやすく描かれた一冊です。
片付けられない親から自分を救い出すまで『母を片づけたい』
ものが片づけられず溜め込みすぎた”汚屋敷”で暮らす母を描いた『母は汚屋敷住人』で有名になった筆者の高嶋あがささん。親を「毒親」として捉えてコミックエッセイが『母を片づけたい』です。前作では、汚屋敷で起こる気分の悪くなるような(ゴキブリの描写)アクシデントがてんこ盛りでしたが、今作では主人公のトラウマとそこから抜け出すためにとった行動も詳しく描かれています。
・成人した娘の男性経験をむりやり知ろうとする
・きれいな服を着ていくと嫌味を言う
といった毒親にありがちなエピソードも出てきて、共感できる方も多いのではないでしょうか。特にこのコミックエッセイのよいところは、他人のアドバイスも交えながら、自分と母の状態を客観的に描いているところです。下調べも非常によくされていて、毒親の性質を理解する上で必要な用語も丁寧に解説されています。筆者は、自分が理解しがたい親の行動を「妖怪」としてそれぞれ名前をつけることで対処しているそうです。具体的な自立の方法を見つけたい時におすすめの一冊です。
毒親と気づいてから抜け出すまで、話題のインスタが書籍化『毒親絶縁日記』
インスタグラムで話題の「自分の親が毒親だと気づいて、絶縁するまでの話」の書籍化作品『毒親絶縁日記』。北瀬ユズさん(@yuzu.kts)が自分がされてきた理不尽な怒られ方と成人してそこから抜け出すまでをつづっており、なお今戦っている様子をリアルタイムでアップしています。。「親が喜ぶだろうとプレゼントをしても、それを大切にしてくれない」「母にどんなことをされても黙認している父親」「家にいつも漂っているピリピリした空気」など、「自分も子どもの頃そういうことがあった」と漫画を通して「毒親育ち」に気づく読者も多かったようです。毒親エッセイは長女や一人っ子が主人公のものが多い中、次女という立場から描かれているところも特徴的です。
自分は関係ないかもと親との問題に蓋をしてしまってはいませんか?
まずはコミックで「毒親」とはどんなものか知ってみることが解決の糸口になるかもしれません。