【はじめてのコーチング】コーチングって何?② カウンセリングとは違う?仕組みを解説

前回の記事では「コーチング」が「コーチと呼ばれる人と行うものであること」「行動を促すコミュニケーションであること」を紹介しました。そこで今回は、コーチングとよく比較される「問題解決」の手段と比較しながら、それぞれの特徴について紹介していきます。

ティーチングとコーチング

昨今「コーチング」がよく話題にのぼるようになってから、その理解をわかりやすくするために「ティーチング」との比較が用いられます。まずは「ティーチング(Teaching)」と「コーチング(Coaching)」について言葉としての意味とその語源から紐解いてみましょう。

《ティーチング(Teaching)》

意味:教えること、教授、授業、教え、教訓、学説

語源:見せて指し示すことを表す古代英語から。「印」を意味する「トークン」などと近い言葉だったとされている

《コーチング(Coaching)》

意味:運動・勉強・技術などの指導をすること

語源:4輪の乗合馬車という意味の「Coach」から。馬車が目的地まで安全に連れて行ってくれる手段だったことから「大切に運ぶ」「目的を達成させる」といった意味合いでつかわれるようになった

このように言葉を分解してみると、「ティーチング」は教えることそのものであり、受け手側が「実際に学び」になったかどうかは関係ないことがわかります。教える側から教わる側に一方的に情報を渡す作業なのです。一方で、「コーチング」は「目的までの到達」が主題として置かれた行為であることがわかります。

日本の学校制度は長く「ティーチング」の姿勢をとってきました。これは「学びの機会を平等にする」つまりは「与えられる学びを皆同じ分だけ受け取れる」といった公平性の観点からはやむをえないことでもあります。しかし、そうしてただ「与えられた情報」は、受け手が吸収しにくいことも明らかになってきました。情報を得る意味や目的が本人にないのに、量だけ渡されるのは「詰め込み」でしかなかった訳です。「数学なんて将来役に立たない」などとこぼすのは学生のあるあるですが、この発言も学ぶ目的を見据えないままに与えられる情報だからこそでしょう。

では、仕事に追われ時間がない中で、大人になってから問題を解決するための「学び」を効率的に進めるためには何が必要でしょうか。それは受け身で渡される「量重視」の情報ではなく、自分で探しに行く「質重視」の情報ではないでしょうか。そしてそれをより効率的に行うためには「一緒に探してくれる人」や「いい探し方を知っている人」との出会いが必要です。この「いい探し方を知っていて一緒に探してくれる人」がコーチなのです。

想像しやすいように「ダイエット」で考えてみましょう。

「なんとなく痩せたい」と思っている時、まず手をつけやすいのはネットや雑誌です。「一週間で10kg痩せる方法」などとタイトルがついていれば、ちょっとのぞいてみたくなりますよね。そこには、運動や食事についてのたくさんのノウハウがのっており、答えは出ているはずなのに、生活に取り入れることは難しいのではないでしょうか?それは目の前の壁が「ただ痩せる」ことで、「はしご」がないためです。

しかし「どうして痩せたいのか」「どうやって痩せたいのか」「痩せてどうなりたいのか」が明確になっていれば、もう少し自分がとるべき行動は見えやすいのではないでしょうか?

「どうして痩せたいのか」の理由が3ヶ月後に迫った同窓会であれば、数字の目標を立てることができます。「食事制限に対する抵抗が強い」のであれば、「どうやって痩せたいのか」は運動などの方法をとることになります。人は「自分で決めた」という意識のあるものほど行動に移しやすいそう。ただ学びを受けとるのではなく、自らが求める「ありたい姿」を見出していくコーチング。達成に近づけそうなイメージがわきませんか?

問題解決のための他の手段との違い

1対1で「問題解決」をするための専門家にはさまざまなものがありますが、「コーチ」との比較としてよく上がるのが「コンサルタント」「カウンセラー」「トレーナー」です。「コーチ」も入れた4者を

・即効性=短い期間で解決できるか

・実現性=成し遂げることができるか

・持続性=解決することによる利益の発生が続くか

・再現性=専門家がいない時、同様の手段で解決できるか

に分けてみてみましょう。

まず「コンサルタント」は「即効性」「実現性」について特に得意としています。だからこそ企業が事業においてかかえている課題を解決するのに向いています。一方で、高額になりがちですし、課題が明確でないと力を発揮しづらいものでもあります。また別の課題が発生した時に応用は効きづらいものです。

「カウンセラー」は「持続性」「実現性」を提供する問題解決のための専門家です。原因を探り当てることを得意としているため、個人の問題を将来に渡って解決するためには良い手段です。しかし、即効性はあまりなくその専門家なしでは解決できなくなるといった特徴があります。

「トレーナー」は「即効性」「再現性」に長けています。ライザップなどが有名ですが、問題の根がそこまで深くないもの(ダイエットや言語習得)に対しては、短期決戦でその後の財産となるものを築きます。またそこで得たノウハウはその後の生活でも活かすことができます。しかし、深刻な問題の解決には向きません。

「コーチ」は「持続性」と「再現性」において力を発揮します。「仕事における人間関係」「生き方」など、個人の根本的な問題を解決していくために有効な手段です。それが実現可能な理由の一つに「答えを自らの中に見つける」ということが挙げられます。自分がその先の行動を決めるため、いつかコーチから離れても、その問答を自分自身の中で続けることができるのです。ただ、人によって自己開示までのスピードは異なり、コーチは「提示」はしないため、引き出すまでに時間がかかりますし、わかりやすいゴールがあるものでもありません。

今の自分にあった方法を見つけるヒントになりましたか?

次回は「コーチング」の歴史など、「コーチング」についての豆知識を紹介します。