【はじめてのコーチング】コーチングって何?④ 親子関係のテコ入れにコーチングがうってつけなわけ

「コーチング」の認知度が上がるにつれて、さまざまな分野専門のコーチングサービスも増えてきました。Quorumが提供しているのは、親子問題を抱えてきた「子ども」がそれを乗り越えていくための「親断ちコーチング」。なぜ毒親育ちの人たちに「コーチング」という手法が答えとなりやすいのか、解説していきます。

親子問題の解決がなぜ難しいか

人間関係にはさまざまな種類のトラブルがありますが、その中でも特に問題が根深くなりがちなのが、親子の問題。まずはなぜ親子問題はこじれやすいのかを紐解いて行きます。

理由1:当事者らが「問題」であることに気付きにくいから

毒親のエッセイを読んでいてまず見つかる共通点は、子どもが自分の親が周囲とは違う、「毒親」であると気づくのが思春期以降であることです。

子どもは生まれた時からその親によって育てられているため、自分の置かれた環境や親から言われたことを「当たり前」と思いながら育ちます。よく「虐待されている子どもはなぜ周囲に助けを求めないのか」という議論があがりますが、子ども自信が暴力をふるわれることを当たり前だと思っており、親の言葉によって「自分が悪いから躾けられているのだ」と洗脳されながら育つため、そもそも反発心が生まれないのです。

毒親の場合、子どもは衣食住に困っていることは少なく、周囲からも「ちょっと教育熱心なお母さん」「過保護気味」などと評価されより気づかれにくい状況にあります。そうすると、子どもが「自分の親はちょっとおかしいかも」と気づくのは、ものごころがつき、周囲と比べる目を持ちはじめてからのこと。

また日本の場合、儒教思想もまだまだ強く、「親に対して批判的なことをいうなんて失礼」という考え方を持っている人も多くいます。結果、友人や周囲の大人にも言い出しづらいまま違和感をかかえつつも「問題」としてとらえないまま、子ども側の心の傷が深くなってしまうのです。

理由2:「程度」がさまざまで対応するための尺度がないから

「親子問題」とひとことに言っても、親の「毒度」は人それぞれ。会社内での「パワハラ」「モラハラ」などは、性差や立場がはっきりしているだけに、共通の悩みを抱えている人も探しやすいもの。対処の仕方に関するノウハウ本などもたくさん出ています。

「毒親」に関する書籍もまたたくさん出ていますが、毒親問題を潜在的に抱えている人が読むと「ここまではひどくないから、自分は毒親育ちではなかったのだろう」と判断してしまいがちです。また理由1でも述べたように、周囲に相談すると「でも暴力をふるわれた訳ではないでしょう?」「今まで育ててもらった恩は感じていないの」「大切に思っていたからこそ、親もそういう行動を取ったんじゃないの」など、的外れな答えが返ってくる場合もあります。

しかし、いじめの問題と同じように、大切なのは子ど本人の気持ちです。生育環境が原因で今生きづらさを感じているのであれば、その要素の一つとして「親」がある可能性は、「親だから」という理由で消すべきではありません。他人からの尺度があてにならない問題が親子問題なのです。

理由3:親と子の育ってきた世代が離れており社会背景が違いすぎるから

毒親が子どもの行動を束縛したり、思想を強要する際によく使う言葉に「私もそう育てられた」というものがあります。しかし、冷静に考えればその言葉に根拠はありません。親が自分の世代で正しかったことが、今の世代の私たちにとっても正しいということはないからです。技術は目まぐるしいはやさで発展し、グローバル化が急速に進んだ最中、病気という人類がまだまだ歯が立たないものによってそれがストップされたのが、まさに「今」という時代でしょう。かつて花形と言われていた職業は一気に不安定な職となり、「人生のレール」はまるでアテにならなくなりました。しかし、親の中でも特に毒親は「自分の信じてきたものの絶対性」を疑いません。理由1にもつながりますが、自分または自分たち親子はその問題の範囲外にいると信じているのです。

また大抵の場合親は先に死にます。死んでその存在から自由になったとき「毒親育ち」だったかもと気づく人も大勢います。しかし、「故人を鞭打つわけにも」などという思いから、一度気づいた問題に蓋をしてしまう人も少なくありません。

親子問題の解決にコーチングがうってつけなわけ

それぞれの理由に対して「コーチング」という方法がなぜ打開策となりうるのか説明していきます。

理由1:当事者らが「問題」であることに気付きにくいから

コーチングでは、クライアントと関係のない第三者であるコーチが、そもそもクライアントにとって何が問題なのか、から掘り下げます。問題を見つけ、向き合うステップに入ってからはじめて、過去の原因を探るのです。「今、親のことが自分にとって問題なのかどうかわからない」「自立できているはずだが、自分で何かが腑に落ちていない」そういった「問題」かどうかの曖昧なラインであっても、それに対して自分がどうしたいのかを深堀りできる機会なのです。

理由2:「程度」がさまざまで対応するための尺度がないから

コーチングが社会で急速に取り入れられた理由の一つが「解決を既存の方法に求めず、自分の中から探すこと」にあります。社会では、さまざまな立場、属性、性格の人たちがいて、前時代に流行った「メソッド」的なものは、限られた人の中でしか通用しないことがわかってきたのです。コーチングはそんな「尺度」から逃れて、本当の問題解決をしたい人たちによって広まってきたもの。だからこそ「尺度」から自由になる必要のある「親子問題」への打開策としてうってつけなのです。

理由3:親と子の育ってきた世代が離れており社会背景が違いすぎるから

コーチングは他の「親子カウンセリング」と違い、当事者のみがクライアントとなります。コーチングのワークに親が参加する必要はありません。あくまで、それまでの育ちを経て「自分自身がどうしたいのか」の答えを出していくのがコーチングです。

では実際に「親断ちコーチング」に携わるコーチたちはどんな人なのか、インタビューの形でご紹介していきます。