【もしかして毒親?】毒親と長男・長女 大人になっても親から搾取されがち?!

家族の問題において、親子という関係がその中心にはなりやすいですが、同時に育った環境、家族構成もまた大きな影響を及ぼします。特に、自立するまでの十数年を一緒に暮らすことになる兄弟関係が親子問題を加速させることも。今回は兄弟の中でも親のプレッシャーを受けやすいとされる「長子」の特徴について解説します。

「長男・長女症候群」という言葉が表すもの

一時期「〜の取扱説明書」というシリーズが流行りましたが、兄弟・姉妹間の属性によって性格や行動に大きい影響があると言われています。長男・長女(長子)の大まかな特徴として

  • 「要領がいい」か「まじめ」かでいうと「まじめ」寄り
  • 「おせっかい」か「マイペース」かでいうと「おせっかい」寄り
  • 責任感が強く、言い換えれば頑固で甘えたり頼ったりすることが苦手
  • 他人への面倒見はいいが、セルフケアがおざなりになりがち

になりやすいと言われています。

長所・短所は裏返しといいますが、頼り甲斐があるように周りからみられる一方で、行きすぎると他人をコントロールしようとする行動がみられるのも長子の特徴のようです。「プライドが高い」「表情が固い」などと評価されることもあり、仕事では「偉そう」と思われたり、恋愛では「本心がわからない」などとみられることもあるよう。

また、そこまで一般的なものではありませんが、「長男・長女症候群」という言葉があります。

  • 相手に尽くしすぎてしまう
  • 仕事を抱え込みすぎて、オーバーワークになりがち
  • 休日もつい仕事のことを考えてしまい、しっかり休めない
  • 自分の成果を自分自身で認めることができない

などから、直接の病気には繋がらなくても、徐々に体調を崩していったり、ある日突然抑うつ状態になることもあるようです。また自信家の一面もある一方、何か失敗したり、外的な要因で一気に「心の土台」が崩れてしまいがち。自己肯定感が下がり始めると、一気に底まで行ってしまうのも長子の傾向だそうです。

毒親×長子の泥沼パターン

最初に生まれたということもあり、親からの期待を背負うことの多い長子。それまで子育ての経験がないこともあり、親自身もプレッシャーを感じます。

そのせいで、過保護・過干渉気味になったり、理想を押しつけすぎたり、ということも起こるようです。

①親子逆転

こうして親が肩肘のはった育児を続けることで「親」であることに耐えきれなくなってきた時、また親自身が自分が子ども時代に十分な愛情などを受け取れなかった時、無意識に子どもに「親」を求めるのが「親子逆転」です。

  • 親が子どもに甘える
  • 兄弟に対する躾を子どもにやらせる
  • 家事などを一方的に押し付ける

といった行動がみられるようになりますが、その場合の「親代わり」を任せられやすいのが、長子なのです。

こうしたことを長子が周囲に相談しても、「親だって疲れてるんだから」「お兄ちゃんだから(お姉ちゃんだから)」と相手にされないことも多く、特に責任感が強い人の場合、親が死ぬまでそれを抱え込むことになります。

②毒兄・毒姉化

親子逆転が進んだり、弟・妹が自分に比べて「自由に」過ごしていると始まるのが、長子の「毒化」です。よく大人になってから「お父さんが二人いるみたい」「若い頃のお母さんにそっくり」などと言われるのも長子に多いようですが、これが毒親だった場合、毒親の性質を引き継いで「毒兄」「毒姉」して連鎖していくようです。これもまた責任感が強いことにも関係するのですが、「家の面倒をみるのは自分」というスイッチが入ってしまうのです。その結果、弟・妹が自立しようとすると邪魔したり制止したりといった「毒親」のような行動をとってしまうこともあるようです。

毒親の元で育った長子の場合、これらの「親代わり」や「毒化」によって、自覚のないままに親から心と物の搾取を受けることにまで発展します。ひどい場合、働けるようになると、家から出ていてもお金を入れることを要求、そうでなくても「愚痴聞き相手」にされてメンタルを削られることも。また連鎖が断ち切れないでいると、将来自分の子どもに対しても同様の「毒」な行動をとってしまうことも。まずは「自覚」と行動変容が必要です。


参考文献

スーザン・フォワード(1999)『毒になる親』(玉置悟 訳)毎日新聞出版

高橋リエ(2019)『気づけない毒親』株式会社PHP研究所

信田さよ子(2008)『母が重くてたまらないーー墓守娘の嘆き』

五百田達成『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』 Kindle 版