【もしかして毒親?】毒親育ちかもと思ったら、まず読んで欲しい本5選

最近目にする機会が増えた「毒親」という言葉。自分が「毒親育ち」かもと疑ってみても、家族の問題について、自立した大人が相談する方法は意外と少ないもの。「毒親」という問題に興味を持った人にまず読んで欲しい本をセレクトしました。

「毒親」という言葉を作った本『毒になる親』

現代社会で生きづらさを抱えている人には、トラウマとしての「親」があるのではということを世の中に提唱した本です。出版されたのは1989年、アメリカのスーザン・フォワードというグループセラピストが執筆しました。彼女は生きることにしんどさを感じている人たちとセラピーを繰り返す中で、「子ども時代に植えつけられた不安、怒り、過剰な義務感、つきまとう罪悪感」が大きな影響を与えていると見出すようになったそう。こういった子ども時代を過ごした大人は、傷を抱えたままであるため、親子関係に立ち戻って対処する必要があるとしています。その中で、「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」を毒親としているのです。具体的なアドバイスもあり、1980年代に出された本とは思えないほど、現代でもまだある同じような苦しみも描かれています。ボリューミーな内容とはなっていますが、「毒親」に立ち向かうファーストブックとしておすすめです。

毒親の立場に立って問題点を明らかにする『気づけない毒親』

「毒親の気持ちなんて分かりたくもない」という人がほとんどかとは思いますが、大人になってから親に「自分が幼い頃何が嫌だったか」をぶつけたい気持ちもあるでしょう。しかし実際に話してみると「都合の悪いことは忘れていて思い出が美化されている」「育ててあげた恩を忘れていると指摘される」など、その反応にむしろ傷つけられることも。そんな「毒親」たちが、なぜ自分が毒親だと気づき指摘を受け入れられないのかを、順序立てて説明しているのがこの本です。毒親のタイプや、毒親にならざるをえなかった時代背景、毒親の心理などがわかりやすく書かれています。「敵を知り、己を知る」(相手を研究することで自分の得意・不得意がわかるということ)とはよく言ったものですが、「毒親」の生態を知ることで、自分が受け継いでしまっているものはないかを知る機会にもなるでしょう。

人を傷つける心理を暴く『子どもを攻撃せずにはいられない親』

『他人を攻撃せずにはいられない人』で有名な精神科医・片田珠美が親子問題にフォーカスして、「なぜ人は人を攻撃するのか」「攻撃する人から身を守るためにはどうしたら良いのか」を綴ったものです。他人をけなしたり、見下したり、批難したりすることで自我を保とうとする「人を傷つける人たち」。著者はそういった人たちは、自己愛が強すぎて「自分は悪くない」と思い込めるからこそ人に酷いことができるのだと述べています。タイトルともなっている「子どもを攻撃せずにはいられない親」もまた自己愛に問題を抱えている場合が多いそうで、さらにそれが家庭内という閉じられた環境であり、支配関係が生まれやすいからこそエスカレートするとしています。愛情を注がない、関心を持たないといったタイプの毒親よりも「攻撃型」の毒親への対処法を知りたい方におすすめです。

母と娘の戦いを描く『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』

親子問題の中でも、「毒母」と娘にフォーカスした本です。

・結婚、上京、独立を許さない

・自分と夫の介護を押し付ける

・死んだらお墓を守るよう強要する

死んだあとまで、子どもを支配しようとする「所有欲」をこじらせた母親たちの実例が描かれます。この本では母親サイドの問題点をあげる一方で、「なぜ子どもはそれに応えようとするのか」、断れない娘側の心理にも言及しています。毒親関係の本は「対処法」がメインの本も多いですが、なぜ成長すればするほど解決が難しくなるのか、子ども側が抜け出せない心理についても言及しているのが特徴的です。タイトルの通り、当事者たちの生々しい「嘆き」が描かれており、引き込まれてしまうため、メンタルが安定しているときに読むことをおすすめします。

「毒父」メインの本としては国内初『毒父家族』

前世代の核家族において影の薄かった「父親」。かつてサラリーマンは家庭を顧みずに、一生懸命働くことが社会で推奨されていました。その世代の親のもとで育った子どもたちが「毒親被害」を訴え始めた現代、そもそも家庭で影の薄い父親よりも教育にあたった母親にほうが話題になりやすいことはいなめません。この本はそんな今までスポットが当てられなかった「毒父」に特化して書かれた本です。

著者は毒父に苦しめられた当事者であり、自身にも妻子がいます。しかし「支配的な父親から母を守れなかった」という罪悪感を常に抱え続け、アルコール依存症に苦しみました。そんな著者が父の死をきっかけに心理カウンセラーとして独立し、「毒父」のトラウマを克服するまでを描いたエッセイです。

近い体験がある人からすると、自らの過去を暴くようで苦しい気持ちになってしまうかもしれませんが、「父」の問題と向き合うための応援ともなる内容かと思います。